「何について書いてあるかは分からなかったのですが、どの本も力強くて、美しい線で書かれていました。」

「草書体の文字が力強くて、美しい線で書かれていたのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。母も草書体の作品を書くことがあり、読売新聞社賞を取った記憶がありますが、蔵の中にあった書物の文字の美しさには及ばないと感じた記憶があります。」

「どこが及ばないのですか」と町会長。

「筆で書いた文字には、書いた人の体力が現れるようなのです。」

「体力がないと美しい文字が書けないのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。母の草書体の作品を初めて見たとき、『体力の差だ』と感じました。」

「渡辺さんは、書道をやるのですか」と町会長。

「僕は、小学生のとき、学校で書道をやっただけです。その時感じたのは、『どうやっても、美しい文字を書くことができない』ということでした。」

「渡辺さんの理論だと、『体力がないために美しい文字が書けなかった』ということになりますね」と町会長。

「おっしゃる通りです。母のお弟子さんの一人に、子供のころから習いに来ているお寺の息子さんがいるのですが、その人の書く文字の線は母のレベルを超えています。」

「そのご住職は、体力があるのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。一見しただけで、身体に力がみなぎっています。」

「身体に力がみなぎっていると、美しい文字を書くことができるのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「お父さんは、書道をやらないのですか」と町会長。

「書道の練習をしたという話は聞いたことがないのですが、展示会の垂れ幕などを、大きな筆で書くことがあったようです。」

「書道家ではないのに、垂れ幕などの文字を書くことを頼まれることがあったのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。大丸デパートに、大きな横断幕を書くのを頼まれたとき、自慢げに話したのを覚えています。」

「やはり、体力があると美しい字が書けるのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。ところが、父は自分が筆で書く字に強いコンプレックスがあったようで、『素人が書く字にすぎない』と否定的なコメントをしています。」

「不思議な話ですね」と町会長。

「そうなんですよ。母が、毎晩、12時過ぎまで習字の練習をしていたので、父は、そういう練習をしたことがないという意味だと解釈していたのですが、目が陽になって、そういう意味ではないことに気がつきました。」

「『そういう意味ではない』と言いますと?」と町会長。

2021/5/25

<筆者の一言>
ステーキを食べると心臓が強化され、その結果、豚肉や鶏肉で体重が増えてしまうと考えると、息子が玄米肉食を始めなければならなかった理由が見えてくる。

筆者はステーキ好きなので、独身時代はフランス料理店で毎日食べたこともあるし、神戸まで食べに行ったこともある。そして、借りていたアパートのスナックで毎日食べていたこともある。このスナックの店長は牛肉が分かっていた。

国産の牛肉を毎日食べると、突然、ムカッとして食べられなくなる。オーストリア産とか米国産の牛肉ではそういうことが起こらない。国産のものでも、牧場に放し飼いにしてあった牛の肉ではそういうことは起こらない。牛舎の中で育てられた牛の肉がムカッとして食べられなくなるのだ。ウェブで調べたみたところ、牛舎で飼われている牛が病気にならないように飼料に抗生物質が入れているようだ。この抗生物質が牛肉の脂肪部分に蓄積されるようだ。脂身でなくても、牛脂は若干あるので、だんだん食べられなくなる。

普通の国産の牛肉が食べられなくなるほどステーキを食べた筆者の影響で、息子は成長期にも、20歳過ぎてからも、ステーキを頻繁に食べている。毎日毎日、3年ほど食べていた時期もある。息子が玄米肉食をしなければならなくなった原因は頻繁に食べたステーキのようだ。<続く>

2024/5/10